PRESS RELEASE

 

WINTEL 2018が独立系音楽セクターの世界市場シェア分析を発表

インディーズが全世界レコード市場の39.9%を占める

総売上は前年比11.3%増、ストリーミング収入は46%増

 

2018年12月4日、ロンドン: WINTEL 2018はWorld Independent Network (WIN)のために発行されたレポートの第3弾であり、流通ベースではなく権利者レベルでのインディーズレーベルの世界市場シェアをマッピングしたものです。

 

この新たなレポートは、独立系音楽セクターが持つ世界的な経済と文化への影響力を分析するためにWINによって作成・依頼されました。本レポートはMIDiA Research社のマーク・マリガン氏が作成し、Music Allyが発行しました。33カ国から集められたこの統計は、これまで編集された世界のインディーズレーベルに関するレポートの中で最も包括的な評価を行っています。

この調査によれば、インディーズレーベルの世界シェアは2016年の38.4%から2017年には39.9%と増加し、同期間に収益が10.2%しか伸びなかったメジャーレーベルを上回る成長率でした。

 

グローバル収益も2016年の62億ドルから2017年には69億ドルと、前年同期比で11.3%となる力強い成長を記録しました。

世界中の業界の注目を引いたのは、いわゆる新興市場の急速な成長であり、中国では収益成長率が36%増加、アジアとオーストラレーシアでは5.4%の収益増加と38%のストリーミング収益増加が見られ、また中でも断トツだったラテンアメリカでは全体的な成長率が17%、ストリーミング収益が約50%増加しました

なお、このレポートがマーケットシェアを分析する際に、流通よりもむしろ権利所有に基づいた価値評価に重点を置いたことを強調することが重要です。

この区別が極めて重要な理由は、インディーズ系が世界各国でメジャーレーベルやその傘下の企業を通じて音楽を配信した場合、メジャーは自社の市場シェアその配信からの収益も自社の売上に含んで評価してしまっているからです。

それらの国際的企業による市場シェアの過大申告は、市場全体の8.6%、そしてインディーズの市場シェアの22.2%を占めるため、市場実態を歪めてしまっています。従って、WINTELの権利持ち分に基づいた分析は、より正確に市場を表しています。

また、市場シェアはApple、Google、Spotifyなどデジタル音楽のトップ企業が権利者であるインディーズレーベルとの使用料交渉にも影響を及ぼすことから重要です。

 

音楽ストリーミングサービスの総加入者数は2017年末までに世界全体で1億7600万人となり、2016年の6400万人から大幅に増加しました。この成長により、2017年にはセクター全体の33%だったストリーミング売上は、2017年には46%を占めるものとなりました。

フィジカルの売上が減少を続けている中、近い将来、ストリーミングがインディーズレーベルの収入の50%以上になる可能性がますます高まっています。

この継続的な成長の理由の1つとして考えられるのはインディーズレーベルがストリーミング環境にうまく対応してきたことです。47%のレーベルがキャッシュフローを大幅に改善したと返答しており、ストリーミングが収入の30%以上を占めるレーベルの場合はその数字は73%となります。

これらの統計は、アーティストへの長期的な育成とアルバムへの投資が、ストリーミング時代ではリスクではなくアドバンテージになるという、インディーズレーベルにとって良い兆候を示唆しています。メジャーレーベルが楽曲をヒットさせるために膨大なマーケティング費用をかける中、インディーズは長期的にアーティストへの投資を続けており、結果として持続可能なビジネスを展開しています。

 

今年のレポートでもう一つ興味深かったポジティブな結果は、インディーズレーベルと契約したアーティストの77%が契約更新を選択したことです。この結果は、これらのアーティストが所属するレーベルの安定性を反映している事に間違いありません。また、インディーズレーベルのスタッフの42%が創業当時から在籍しているとの結果も出ており、インディーズレーベルの創業からの平均年数が14.9年ということを考えると興味深い統計となっています。

このデータ内には、現代のインディーズ系企業の興味深い姿を映し出しています:インディーズレーベルには平均で、13.6名の常勤スタッフ、3.2名のパートタイムスタッフ、そしてカタログ内で97.6名のアーティストがいるとのことです。中でも最後の数字は、ストリーミングがインディーズレーベルに及ぼしているポジティブな影響に関連しており、強力なカタログによって持続的な収益の成長につながっています。

また、2018年版においては「インディーズ(Independent)」の定義についても重要な見直しが行われています。インディーズレーベル以外にも、第三者ディストリビューター経由で自主リリースされるアーティストの音楽も含まれています。

例えば、でグライム(grime)のようなジャンルの創作面・商業面での世界規模の爆発的な成長は、このようなモデルによって支えられています。

WINTEL 2018によると、自主リリースを行うアーティストの収益は2016年の9400万ドルから2017年には1.01億ドルにまで拡大しています。これらのアーティストは、自身でチームをつくりレーベル活動をしており、インディーズコミュニティの中でもこの分野が大きく成長することが予想されます。

 

WINのCEOであるAlison Wenham氏は「2018年が終わりに近づくいま、世界のインディーズ市場シェアが2017年に39.9%と驚くべき成長をしていることをハイライトするWINTELの第3弾を出版することを大変喜ばしく思っています。このレポートでは数多くの興味深い結果が出ていますが、私が特に注目したのは76%以上ものアーティストがレーベルと契約を更新することを選択していることで、これはインディーズレーベルが所属するアーティストと非常にいい関係性を構築できている証拠です。この12ヶ月は我々の業界にとってまたもや色々な面で激動の時期となりましたが、私たちはビジネスを保護するための強力な新法を生み出し、おもいがけない地域での予期しなかった驚異的な成長を経験し、そして世界中のインディーズコミュニティの素晴らしい音楽を楽しみ続けているファンたちから、より一層のサポートがありました」とコメントしました。

 

ベガーズ・グループ創業者でWIN会長のMartin Mills氏はこう語りました:「購入される音楽の実に2/5が独立系セクターのものとなった今こそ、この素晴らしい偉業を祝う時期なのかもしれません。あらゆる多様性が評価されるのに統合が一般的なこの時代、音楽のような文化的なセクターがアートとビジネスの両面においてこのような特筆すべき多様性を達成したのは誠に素晴らしい事であり、我々が団体組織を通じて強固な力を発揮することができたからの結果です」

 

WINTELは、印刷物またはオンライン(www.winformusic.org)で2018年12月4日午前7時(イギリス時間)に公開されます。

日本においては、一般社団法人Independent Music Coalition Japanより入手できます。

 

For further information:

Andy Saunders

Velocity Communications

Tel: + 44 (0) 7939 133050

andy@velocitypr.co.uk

 

一般社団法人Independent Music Coalition Japan(IMCJ)

Tel: 03-5315-4020

info@imcj.or.jp

 

WIN について

2006年にインディーズレコード事業者団体の国際組織として発足。ロンドンに本部を置き、世界27カ国30団体が加盟。インディーズ分野を取り巻く諸問題に対するロビー活動を通じ国際的発言力を強める。各国のインディーズ団体への支援をはじめ、デジタル時代のインディーズ事業者の新たなビジネスモデル提案、権利拡大活動、国際間協調運動を進める。